home >  弓道四方山話 > 巻の拾弐 「文の巻」

12-3 弓道教本の拾い読み

四方山話も相当になりましたので理論ばかり先行していますが、体のほうが付いてくるの?と云われそうな按配です。また、相当勉強しているようにみえますが、先日体配のことで教本には何と書いてありますかと諮問されて返事に窮しました。これまで弓道教本の第1巻は数回拾い読みした程度でしたので、一寸真面目になって読んでみました。そこで、序文がすごく格調高く、弓道の理念、真髄を伝えようとしており、石岡先生の「弓道の新研究」の科学的に、合理的に研究しているイメージが感じられます。
今日はこの教本の中から、私が四方山話のなかで云ってきた事との共通点について、自画自賛したくキーボードを走らせましょう。

1.二足の足踏みについて、「足元を見るべきでなく、目使いで行うべき」と指摘されたことがありましたが、弓道教本には「的を見ながら左足を(中略)開き、次に目を下に移して右足を(中略)開く」となっています。

日置流の稲垣先生も武射系では足踏みを確認することは、第一義的に重要事項であり、下を見る姿勢を悪いと思うのは本末転倒であると述べています。

2.取り懸けでは、「親指をはねるようにして、柔らかく整える」とありますのは、取り懸けの一文字(十文字)です。引き分け、会で親指を外側に曲げたり、捻ったりすべきではありません。あくまでも矢と平行方向に伸ばし、ひじから軽く絞って指を反らすのが良いのです。

3.頬付けでは「口割より下がってはいけない」とあります。口割より下がると離れが出難くなり、緩んだり、もたれたり、ビクリを生じやすくなります。

4.会では、「五部の詰め」、「四部の離れ」について昔からの云い伝えとして云葉のみ上げ、説明がありません。これは極意であり、長くなりますので四方山話で探してください。

5.狙いについて教本は、「会においては矢は正しく的の中心線に向かっていなければいけません。狙いは両眼とも開いたままで、右の目頭…弓の左側と的の中心線を見通して定めるのが原則である。」と書き、非常に判りやすい図が在ります。初心者で、どうも狙いが良くわからんという方は、ここの所をよく読んで理解してください。

また、「的にとらわれるな」とよく云われますが、これは狙いなんか間違っていても良い、いい加減で良いと云うことではありません。「矢が正確に的に向かっているべきであり、矢が飛んで行ったところを見て、付けを右往左往させるな」と云うことです。

やはり勉強は大切と思います。先に正しい理解があれば直ぐに実行はできなくとも間違った方向に行くことなく、徐々に到達できるようになるからです。

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