home >  弓道四方山話 > 巻の拾 「未来身の巻」

10-4 五部の詰めと五緩

1.五部の詰め
会の詰め合いは五部の詰めが最良です。これは全身で詰めを行うので、総部の詰めと呼ばれ、詰め合いと同時に伸び合いをもって効かし、胸の中筋に楔を打ち込んで弾き割って両手両肩が同時に離れます。これが理想の離れ「四部の離れ」です。逆に云えば、四部の離れを出すために、五部の詰めを行うものとも云えます。

1)押手の詰め:入り過ぎず、控えすぎず、下押しでなく、上押しでもなく、中押しで、角見を効かして、脈どころから押し切る詰めである。

2)勝手の詰め:親指を一文字にして、外に曲げず、内にも曲げず、上にも下にも曲げず、捻り不足すぎず、捻りすぎず、勝手の脈どころから矢筋に詰めるもの。

3)両肩の詰め:両肩は前に出さず、後ろに逃げず、矢筋と平行に、矢の中に納めるように、骨の関節を合わせるように詰める。

4)胸の詰めは:胸の中筋を開き、背中の肩甲骨を対称に閉じ合わせる詰め。

2.五緩
五緩はこの五部の詰めの全く反対の緩みであり、それぞれ単独で、あるいは複合して起き、深刻な緩み離れを引き起こす、万病の元です。

1)押手の緩み

2)勝手の緩み

3)押手の肩の緩み

4)勝手の肩の緩み

5)胸の中筋の緩み

従って五緩の緩みは、それぞれ五部の詰めをもって、早急に癖にならぬうちに、直さなければなりません。気持ちを悠然として、「唯伸びて緩まず」、離れまで連続させる意識が重要です。

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