home >  弓道四方山話 > 巻の拾 「未来身の巻」

10-2 弦音

良い弦音が出るためには、勘の良い弓、弓に合った弦、張りの高さなどにもよりますが、鋭く軽妙な離れが出るときに少し高めの澄んだ鋭い弦音がします。逆に弓の状態が悪い時、離れが悪いときには、割れた竹でたたいたような鈍い音がします。

良いバランスの取れた射の時には、離れの瞬間でも弓も弦も暴れずに、矢をスルッと押して張り弦の状態まで戻り、張力を保ったままの状態で矢が分離し、弦が関板に当たって澄んだ弦音を発します。

緩み離れの時には、弓は暴れ弦は緩んで波打ちながら、関板に急に打ち付けられるので、割れた鈍い弦音となります。

弦音はもともとギターの弦と同じであるので、弓が強く、裏反りが強いほど高い音となり、弦が細いほど高い音となります、奏者の弾き方によって音に差が出るのと同じでしょう。

また弓の形によって、下が強い時は上の関板が離れて、弦音が出なくなり、逆に関板がくっつき過ぎるとビビリ音となります。

以上のようなことを意識しながら、自分の弦音に絶えず注意しながら、練習するのも楽しみの一つでしょう。しかし、良い弦音にこだわり過ぎるのはナルシズムでしょうか。

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