home >  弓道四方山話 > 巻の七 「十文字の巻」

7-15 押手の親指と勝手の親指の方向

この頃、口ばかりで、ますます中りが遠ざかっていますので、自分ながら四方山話を語るのが白々しく思いますが、頑張って年寄りの戯言を述べてみましょう。

詰め合い、伸び合いはこれまで書いてきたように、両拳、両肩、胸筋の五部の詰め、四部の離れが最高の技です。

このとき、両拳の働きは剛弱、強搦で述べたように、押手も勝手も脈所から、両手の親指が矢筋方向に伸びてゆく意識が重要であると思います。

押手では、親指の上に矢が載っているので、押手の親指の方向に角見を効かしてゆくのは矢を真っ直ぐに押し出せることが自分でもよく判ります。

一方、勝手も親指の付け根の弦枕で矢の筈を挟み、一文字に引いているので、この親指の方向に働かしてゆけば、弦は矢を真っ直ぐに押し出してくれるはずですね。

しかし、勝手は目に見えないので方向が判りにくいですが、親指の方向は矢と平行ですので、離れの瞬間はこれをクロスさせないように、親指を伸ばしたまま親指に平行な方向に離れるのが矢筋方向の離れです。

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