home >  弓道四方山話 > 巻の六 「掛け橋の巻」

6-2 烏兎の懸け橋

目中てに用いる烏兎の懸け橋と云う心は、烏はからす、兎はうさぎなり。弓手をからす、妻手をうさぎと云い、矢を懸け橋と名づけ、左右真っ直ぐなるを懸け合いと云いしなり。

「打ち渡す烏兎の懸け橋直ぐなれば、引き渡すには反り橋ぞ良き」

「弓に二度の反り橋と云う、直の反り橋はこれなり。」

二度の反り橋と云うは、引き渡すときは反り橋の形のように丸く引き分けるのを良しとし、これを引き渡す反り橋と云う。また、引き納めて後ろのかりかね骨(肩甲骨のことか)のゆき合いて前の胸の高きを良しとするなり。これを引き納めて胸の高き反り橋と云い、二度の反り橋なり。

弓手はからすのような形に、妻手は兎のような形にし、日月の釣り合いで真っ直ぐに水平に渡し、引き分けは中高に丸くアーチ状に、会では肩甲骨を合わせるようにし、胸を高くして反らすように大きく引き納めるのが、二度の反り橋です。

コメント

初めまして
いろいろ勉強させて頂いております

一つわからないことがあります
それは
「弓手はからすのような形に、妻手は兎のような形にし、」
とありますが烏兎は日と月を言っていて、太陽にはヤタガラス、
月にはウサギと解釈しているのですが、形そのものの類似という
点では初耳なのですが
かなこ | 2016/12/23 09:39
かなこ様 コメントを有難うございます。
貴方の云う通り、陰陽、天地を日月に譬え、太陽には烏、鵜(からす)、月には兎が住み、その使いとされてきました。日本の古典文学には一つの言葉に二通りの意味、解釈を持たせるのが高度な表現として用いられています。
 この烏兎という言葉も、象徴的なシンボルとともに、形にも表れています。弓手は弓に直角にして水平に押す形は、鳥の頭のように使いなさいという判り易い説明です。意識しないで弓手を構えるとき、下押しになりやすいので、あえて烏の首のように、あるいは鵜飼の鵜が水面に顔を出すときのように、水平に押しなさいというものです。
 また、馬手は親指を弦に直角を保ったまま、丸く兎のように柔らかく使いなさいという教えです。
 話は変わりますが、弓の上下の末はず(うらはず)と本はずについても烏の嘴、兎の額と云います。これは弦輪をかける部分ですが、うらはずは嘴のように長く尖っていますが、元はずは少し丸く短く兎の鼻から額のような形です。
 
櫻井孝 | 2016/12/24 21:36

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