home >  弓道四方山話 > 巻の七 「十文字の巻」

7-1 会の形(その1)

会の形は引き分けの弦道の結果です。従って会に入ったらもう直せません、そのままです。しかし、弦道のときには、会から戻したのが弦道だと云い、鶏と玉子とどちらが先ですかの関係になります。ようするに自分に合った引き方、射形を見つけ、反復して、体で覚えさせて、正しい弦道を見つけると云う手順でしょうか。

弓道は儒教の影響が強いので、中庸と云う云葉を重んじます。「心を総体の中央に置く」はまさにこのことです。また、「過ぎたるは及ばざるが如し」のように、押し過ぎても、引きすぎても、肩を出しすぎても、凹みすぎてもいけません。会の形のポイントは三重十文字の規範がきちっとできているかにあります。

三重十文字が中庸であり、これから外れるものはいけません。すなわち両肩が矢筋と平行になっているかどうかが最も重要であり、偏芯モーメントの項でも述べました。従って、大三から引き分けでは両肩の付け根がどの位置にいるかを常に気をつけることが肝心です。押手を効かすとか、勝手の肘を回すようなことは末節のことです。

このとき、押し手の肩は見え易いですが、勝手の肩は見えにくいので、特に注意が必要です。

また、弓道八節図解も中庸であり、実に凄い図だと思います。この図解は何度見ても、実に素直に、柔らかく、簡単そうに描かれています。張り詰めた隙のない近寄りがたい射ではなく、自然な形になっています。納まり具合、離れにおける開き、握りこみなど良く見るほど味が出てくるように思います。

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