4-5 吾加(五箇)の手の内

2001/09/03 月 00:00
櫻井 孝



1)鵜の首
「鵜の首」の手の内と云うのは、押手をカラスに喩えるのと同様に、大三などで弓を押す形が、弓に直角であり剛弱所(手首の脈所)で曲がって水平になる形が鳥の首に似ていることから来ています。また、鵜匠が飲み込んだ魚を吐かせるときのように、親指と人差し指の股は開き、親指と小指を閉めることを、「上開下閉」と云います。

2)らん中
らんは鳥の雛のこと、あるいは卵のことです。押手はむやみに堅く握り締めるばかりでは、かえって鋭い押しにならず、鳥の雛を持つように、あるいは卵を握るように、丸く柔らかくして調子良く握り込むのが鋭い押しになることを教えたものです。ゴルフでも同じように、卵を握るように、あるいは小鳥を握るように柔らかく握りなさいと云われてます。

3)三毒
押手の3本の指は、小指を貧欲に締め、親指を「しんい」(語句不明)と云う憤怒の気持ちで締め、愚痴愚痴と薬指を締めるのが三毒強しの教えと云われていますが、難解でありよく判りません。これはひたすら強く握る教えであり、上記のらん中の柔らかく締めるのと矛盾しているように思われます。ただむやみやたらに強く握るのとは違ようです。

4)骨法陸
「骨法陸」の手の内は、骨格に合わせて直角に(陸)作用させることを云い、五重十文字の一つともいえます。押手の天文筋を合わせ、親指の掌根を直角にして中押しとするのはこの形のことでしょう。

5)呼立(ああたったり)
「呼呼立り、ああ立ったり」の手の内と云うのは、赤ちゃんが掴まって立ち上がるときの無邪気な握り方の手の内であり、全ての極意を達成した達人が最後に到達する無為無策で最高の手の内のことを云います。赤ちゃんが掴まって立ち上がったとき、親がああ立ったりと云って喜ぶことからこう云われていますが、赤ちゃんに弓が引けるわけじゃなし、還暦と同じように名人だけが最後に到達する、最も単純な規範に戻ろうとする極意でしょう。

古書では、この5つの手の内を説明するだけで、どれが最も良いとは書いていません。、これを「時の手の内」といい、自分に合うものを理解して行えといっているように思います。

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