手袋考5「銅型」

2016/10/06 木 22:04
峯 茂康



インサートの材質は銅ではなく塩化ビニールにしました。重量を軽くできますし加工も容易です。最初は普通の塩ビパイプ(VP管=ネズミ色)を加工して幾つか作ってみたのですが、耐衝撃性塩ビパイプ(HIVE管=黒色)の方が粘りがありそうだったのでこちらに変えました。

image[樹脂インサート]

パイプは適当なサイズに切ってヒートガンで温めます。柔らかくなったら親指にあてがって実際に弦を執って引きます。こうすると自分の手に合わせて弦を引き納めた角度に沿うよう曲がります。射手の骨格や指の太さや形に完全オーダーメイドでフィットするわけです。端を削って滑らかに形を整えれば塩ビ製「銅型」の完成です。

image[樹脂インサート装着]

出来上がった銅型というか樹脂インサートを手袋の親指腹に接着し、上から腹革で覆います。極浅く弦溝ができますが弦枕という程ではないので、うっかり堅帽子ユガケのようなつもりで弓を弩くと暴発して痛い目に遭います。

image[親指背は柔らかい]

勿論、親指の背は手袋のままですからフニャフニャです。いわば究極の節抜きです。

そして肝心の使い心地はどうかというと、残念ながら良くありませんでした。今回は親指の第一関節を跨ぐ最小限の大きさで樹脂インサートを作ったのですが、指先側のインサート端が指腹にくい込んで痛いのです。弦そのものの食い込みは防げても、指より小さいインサートでは具合が悪いということが分かりました。離れの感触はインサート有り無しで大きな違いは感じられませんでした。インサートの形状はもう少し研究の余地有りです。

image[小改良手袋(掌)]

image[小改良手袋(甲)]

image[小改良手袋(親指)]

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