2019/04/01 月 12:30
櫻井 孝
第二節は引術であり、弦を引く方法を論ずる。
1)右腕を締めて引くに、上腕を肘で折って直にすべし、かぎ状に折り曲げるべからず。弦を右肩に引き寄せるとき、馬手肘は後ろの肩甲骨に詰まる味わいで、屈したまま骨相筋道に真っ直ぐとなり、これを屈中の直なりと云う。勾曲とは勾(かぎ)状に曲がることを云い、手首が折れて手繰り、肘尻が曲がって下がるのを嫌うものである。
2)弦を懸けるに、大指の腹に懸けるべし、指先に高く懸けるべからず。掛けは大指の腹の二の節の中ほどで十文字に懸けるのが良い。大指の指先で摘まんで高く懸けて引くときは、力弱く矢に勢い無くなる。骨法崩れて甚だ宜しくない。
3)引くには、身気をもってすべし、手力をもってすべからず。弓を引くことは、もとより身体の力を用いるものであるが、手にばかり力を入れて引くべからず。体力に気力(精神力)が伴わないときは、力みを生じ、胴造り狂い、骨法を崩すものとなる。身体と精神が一致和合して行うことが肝心である。
4)右肩の形は上離れとするべし、下着とするべからず。上離れとは離れのことではなく、右拳が肩から上に離隔しているものを云い、下着とは右拳が下がって肩関節に近いものを云う。上離れは骨法に合致しているので、離れが軽く出るが、下着が過ぎれば肩にもたれて、緩みやすく離れ難くなる。
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