1-28 礼記射義訓纂について

2019/01/23 水 18:00
櫻井 孝



1)審法(しんぽう):五身では目当て(足踏・胴造・弓構)
2)彀法(こうほう)やごろと同じ字:引き分け
3)均法(きんほう):会
4)軽法(けいほう):離れ
5)注法(ちゅうほう):見込み、残身

審法を論ず
矢を発つに必ず先ず、一の主意を定む。意は心に在りて、目に発す、故に審を先となす。審の工夫直に貫いて、到底して最後の注の字と相照応す、共に目を以って主となす。
故に射んとせば、先ず目を以って審定し、而して後に肩臂(かたひじ)の衆力(総力)これに従って発す。審(ねらい)は詳らか(つまびらか)に見定めるもので、視力を主とするものである。射の始めから最後の注(見込み)に至るまで、審(ねらい)に周到なる注意を払うて動作することを云うのである。以下略


8.礼記射義訓纂(中間の文章)


「−−徳行を観るべし」と「射は仁の道なり。−−」の中間には読み下し文で約50行の長文があり、孔子の理想とする儒教の身分制度、祭(政治・統治)体制、採用、および身分による射の意味、的(目標)とその結果に対する褒賞について記述しています。しかし、解読不能の言葉も多いので、判る部分のみ簡単に趣旨を摘み食いして紹介します。
・天子は官の備わるを楽しみ、国安らかの故、射は盛徳を観る所以なり。故に射を以って諸侯、卿大夫、士を選ぶ。これを飾(ととの)うるに礼楽を尽くし、ゆえに聖王務む。
・諸侯は天子に会う時を以って節となし、暴乱の災い無くして、功成りて、徳を行う。
・卿大夫は法に従うをもって、士は職を失わざるを以って、徳を行い、功なる。
・天子は毎年、諸侯から士の貢献を受けて、射宮を開催し、的中の良否によって、祭への参与、領地の褒賞を与える、これすなわち誉なり。以って諸侯、君臣、志を射に尽くす。
・天子は国を制し、諸侯は務む、天子は諸侯を養う所以にして、兵を用いず、諸侯自ずから正しきを行う備えなり。
・人の父たるものは父の的(鵠)を、子は子の、君臣は君臣の夫々の的を射る。
・天子の主催する大射は諸侯のために行う。射て中れば諸侯は即ち為すことを得、祭に与かるを得、地増すを以ってす。中らざれば即ち為すことを得ず、祭に与かるを得ず、責めありて地削るを以ってす。

このように、射の結果には極めて厳しい賞罰があったのです、これは大変なことです。自分の射の出来によって、妻子が路頭に迷うだけではなく、領地まで削られるとは、現代の射会の表彰とは比較にならないものです。

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