1-28 礼記射義訓纂について

2019/01/23 水 18:00
櫻井 孝



弓道教本第一巻52頁に故宇野要三郎先生が「礼記の遺訓」として冒頭の「礼記射義」の文章を解説されています。また、38頁〜41頁には「弓道の倫理性(道と礼)」として礼記の思想の背景について記述されています。

しかし、これは「礼記・射義編」という非常に長い漢文の中から二か所の文章を抜き出して編集された物であり、それには触れないで解説されたので、「文の繋がりが不自然である」こと、および「己に勝つものを怨みず」などは現代弓道ではあまり意味を持たないように感じ、疑問に思っていました。

2.礼記射義の研究(礼記訓纂、解説)


礼記射義の研究には以下の二つが私の手元にあります。

1)徳田雅彦先生による「礼記訓纂」


先生が纏められた膨大な弓道関連資料を頂き、その中に「礼記訓纂(くんさん)」という文書がありました。「礼記訓纂巻四十六」著者は宝応朱彬揖とあります。宝応は元号か地名で、朱彬揖(揖の字は手偏ではなく車偏)という姓名の人物が解説した漢文の全文が五頁あり、その後に先生が読み下しした文章(日本語)が四頁あります。

礼記射義は非常に古い時代に書かれた漢文であり、文字も内容も極めて難解であるので、私には全く歯が立ちません。

先生はその全ての漢字に振り仮名を付けて読み易くしてくれましたので、教本の文章だけでなく射義編の全文を読むことができます。それでも文章が極めて長く、難しい文字が多数あり難解なものです。自我流の解釈なので、間違いもあると思いますが、勇気を奮って解釈に挑戦してみます。

2)故松井巌先生の「礼記射義・解説」


松井先生の論文は、礼記射義の書かれた時代背景、儒教の精神、および射義編の構成について丁寧に解説されたものです。ただ、その解説の記述が詳細にわたり、また他の弓術書なども加えて説明しているため、かえってなかなか届かないように感じるのは、自分の理解力と我慢力の不足のせいかも知れません。

これはインターネットで読むことができますし、「道の弓」という題名で出版されていますので、興味のあるかたはお読みください。

3.礼記射義の時代背景


礼記は紀元前6世紀頃の春秋時代に魯の国の宰相であった孔子が著述した「儒教」の理念である「論語」、「四書五経」などの膨大な文書の中で、礼について記したものであり、その第46巻が射義編である。

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