ユガケ改造二題

2014/02/05 水 20:00
峯 茂康



まず帽子先の脂革を剥がして、さらに縫い目(これも接着剤で固めてあって難儀した)を切って帽子革をめくると、角木には随分濃い褐色の固い木材が使われていました。弓道講座に小沼豊月氏は角木の材には椿の枝木を使うと書いていますがこれがそうなのでしょうか。

中に指を突っ込みながら見当をつけて鋸で帽子先を切り落としたら、丁度空洞の先を少しかすめたところでした。親指の内革の先がチラリと見えたので、鋸で出た木粉をエポキシ接着剤に混ぜて作ったパテを盛って塞ぎ、帽子を削って形を整えます。非常に堅くて削りにくい木材で難儀しましたが、多少でも離れで弦が引っ掛かりにくくなるよう指の腹側も軽く反るようにしておきました。ここまでやって親指は1センチほど短くなりました。改造前の写真を撮っていないのですが、一見して帽子が短くなったと感じます。

image[改造を終えたI川先輩の五本指竹林ガケ]

めくった革を元に戻し、帽子が短くなった分だけ余った革を切り取ってから縫います。新しい革で脂革を作って接着し、帽子の改造は完了。脂革よりも親指の付け根側には角が入っていません。ここは鹿革だけで固めてあって、指で押すとフカフカと柔らかくなっています。これを「節抜き」といって、やはり竹林ガケの特徴です。また帽子の形が扁平ですが、これも「ボラ頭」等と呼ばれる竹林ガケ独自の形状です。

次に、小紐通しの穴が小紐の付け根に近すぎて目一杯締めても手首がユルユルなので穴を奧へずらしました。そうしておいて縁を元の穴のところまでざっくりと切り取り、同時に掌も少し刳ります。さらに縁がガタガタしたラインだった筒の重ね目も滑らかになるよう一回り小さく切り取って形を整えました。縁には糊で貼り付けられた新聞紙が残っていました。恐らく新聞紙を型紙にして、それが動かないよう革に貼り付けてから裁断したのでしょう。弓道講座の小沼豊月氏の製作中写真にも同じような型紙の剥がし残しが見えます。最後に小紐の付け根のほころびを縫い直して、これで切った貼ったは終了。

image[改造を終えたI川先輩の五本指竹林ガケ]

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