8-20 膠着状態のしがらみ

2009/01/30 金 00:00
櫻井 孝



詰め合い、伸び合いをじっくりやろうとすると会の持満も深くなりますが、反面勢いが衰え固まってきて伸びが出なくなってしまうので、むやみに保とうと考えるのではなく、力みなく穏やかで余裕がなければ叶いません。

ここで詰め合いの後に伸び合いを行うのが教義ですが、そうすると上記のように難しいので、私の個人的な意見として、引き分けの延長線上のまま詰め合いながら伸び合いを同時に行って、離れに繋げるように考えています。

3)心のこと

達人でもないのに精神的なことを書くのは僭越すぎておこがましいですが、気の持ち方も膠着状態に影響します。

会・離れとは竹林坊如成が仏教用語の「会者定離」、すなわち会うものは定めて離れるという道理を用いたものですが、その別れ方には問題があります。締まって伸びやかに離れるのは「生きた離れ」ですが、膠着してしがみつき、緩んで離れるのを「死に別れ」とも云います。

小さく収め、小さく離すような消極的な行射(年寄りの射)も、開く働きが弱くなり、肩関節において腕の骨と肩の骨がもたれあって窮屈になり、膠着状態となる恐れがあります。積極的で伸びやかな気持ちで行射することが肝心です。しかし、これも弓力に余裕がないと出来ません。

重い扉を両側に開くようにとか、高い山に車を押し上げるようにとも言います。また引き分けるときの力の曲線は常に緩やかに増加する漸近線をイメージして、決してピークを超えて下ることのないように気持ちを保つイメージが大事と思います。

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