5-22 妻手にも脈所がある
2008/11/26 水 18:11
櫻井 孝
一方、妻手の脈所は「強搦(つよがらみ)」と云われ、これらについては既に巻の六「剛弱、抱惜、強搦」に書きました。また「円相の構え」、「幼子を抱える」、「半捻半搦」、「会」などにも同様のことを書きましたが、年寄りの戯言としてくどくどと書いてみましょう。
「強搦」とは「つよくからむ」と読み、妻手の捻りの程にも適度があり、脈所の微妙な効かせ方がポイントであると思います。
このとき妻手の手首の脈所を外側に曲げ過ぎれば、手首に力が入り、肘が収まらず、伸びも働きもなく、離れが出難くなります。
内側に曲げ過ぎれば、肘は大きくなりますが、弦が懸口から外れ易く暴発の恐れが生じます。また、上に曲げ過ぎれば、凹んで小さく働きがなくなり、離れも緩み易くなります。
下に曲げ過ぎれば、手繰り形となり、筈こぼれ、矢口が開きやすく、妻手が勝って片釣り合いとなります。
すなわち、妻手の親指の中筋を弦に直角に(一文字に)懸けて、中指の第2関節と第3関節との中間の腹で親指の頭を軽く結び、人差し指を軽く添えて矢を育むのです。これは五重十文字の2番目であることは云うまでもありません。
「矢をいとしい幼子と思い、丸く柔らかく、かき抱く」のが会の和合であり、円相の心であり、妻手の脈所です。
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