当流弓具の習い

2003/10/01 水 00:00
峯 茂康



重籐弓に限らず、儀式においては自分が許された免許の弓を使用するものですが、まだ何も許しのない門人や、ユガケの免許のみで式弓を許されていない門人は白木の弓を使います。昔はユガケの免許の門人が使う「五色の弓」というものもあったようですが、現在は使われていません。

弓に巻かれた籐や革を装束と呼びますが、儀式に使う弓には「式の籐」という装束を施します。白木の弓に式の籐を用いたものを太平弓と呼びます。式の籐は弓の上部から、弭巻2ヶ所、千反巻、月輪巻、七曜巻(矢摺籐)、九曜巻(握革)、引目籐、日輪巻、栴檀巻、弭巻1ヶ所です。

通常購入したばかりの弓には、上下の関板の継ぎ目(切詰籐)と握りの上(矢摺籐)だけ籐が巻いてあるはずです。この3ヶ所の籐と握り革しか巻いていない弓は仮装束の状態であり、このままでは儀式に使用することはできません。何故仮装束で出荷するのかというと、そもそも弓は暫く引き込んでから小村などの微調整をするものなので、その際に弓師が全て装束を取り去って作業をするためです。そうして本当に仕上がってから、きちんと装束をします。

最近は、この3ヶ所に加えて矢摺籐の上(匂籐)と握りの下(蟇目叩籐)の5ヶ所に籐を巻いた新品の弓を見かけますが、こういう弓は完全調整済みを前提に販売されているということでしょうね。それとも単に低価格品と外観上の区別をするためでしょうか。中には弓師が籐を巻かずに、弓具店の店員さんが巻いていることもあるようです。

また、弓師や弓具店が紫色の握り革を巻いたりすることもあるようですが、これは決して用いてはならないのが当流の習いです。同様に、ユガケには白革、錦革、総紫革(無紋の紫革)も用いません。

私はうっかり紺色の握り革を巻いていて、紫色に見えるから止しなさいと兄弟子から注意を受けたことがあります。茶色の握り革も紛らわしいので避ける方が無難でしょう。私はそれ以来握り革は黒色にしています。

さて、弓ばかりでなく小笠原流歩射の特徴的な弓具といえば諸ガケですが、ユガケの免許は下から、紫紐、紫一本継指、紫二本継指です。これは、紐は緒を、一本継指は薬指を、二本継指はさらに中指を紫色の革にするものです。小笠原流のユガケについては稿を改めて詳しく述べたいと思います。

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