◇0007:小笠原流の免許
宗家は教場で門人の指導に当たられますが、実際には全国に分布する門人が、本部ともいえる宗家の教場だけで稽古することは不可能です。そこで、宗家の許可を受けた者が指導に当たる支教場が設けられました。
しかし、支教場の主といえども先生=師範ではありません。前回小笠原流では先生といえば宗家(小笠原師範家の方々)しかないと書いたように、自分の支教場で指導している門人であっても自分の門人ではなく、全て宗家直門なのです。
さて、先生に代わって門人を指導する者を一般に師範代と呼んだりしますが、これを小笠原流では「取立(とりたて)」と呼びます。もちろん支教場主も取立です。修行の進んだ門人を取り立てて、宗家へ許し(免許)を申請するのも取立の役目です。
小笠原流の免許は歩射と騎射に分かれ、それぞれ一張弓免許を最高としました。この一張弓は「一張りの弓をもって天下を治む」という意味で、江戸時代までは将軍家だけに差し上げた免許です。(小山弓具のコラムによれば、宗家としても一世に一張のみを許すだけらしい)
そして、一張弓の次が重籐弓です。現代の小笠原流では重籐弓を最高としていますが、これも江戸時代は大名に限って免許されたもので、旗本には四足弓(重籐と同じ数の籐を四つずつ寄せて間を空けて巻いた弓)でこれに代えたそうです。
以下に免許を列記します。尚、ユガケの漢字表記については、弓ヘンに世木※、弓掛け、弓懸け等様々ですが、拙稿ではカタカナに統一致します。
歩射免許
- 一張弓免許
- 一張弓格免許
- 重籐弓免許
- 重籐弓格免許
- 相位弓免許
- 相位弓格免許
- 修善弓免許
- 紫二本継指ユガケ※免許
- 三品籐弓免許
- 紫一本継指ユガケ※免許
- 紫紐ユガケ免許
騎射免許
- 一張弓免許
- 一張弓格免許
- 重籐弓免許
- 重籐弓格免許
- 相位弓免許
- 相位弓格免許
- 五杖免許(歩射の修善弓に相当)
- 塗鞭免許(歩射の紫二本継指に相当)
- 小袴免許(歩射の紫紐に相当)
歩射の紫二本継指免許、騎射の塗鞭免許以上が取立の有資格者です。
※=
<<一つ前の「射法は寝て待て」
|