2-17 続・高さの狙い
2006/05/31 水 00:00
櫻井 孝
同じ人が同じ矢を使用して60mの遠的を行う場合の的付けは、7−9×50/100=2cm となり、10キロの弓ならば 7−18 x 50/100=−2.0 cm となり手の中に隠れますが、もちろん軽い遠的用の矢を使用すれば的付けは少し高くなります。これらの計算値は実際に行っている的付けとほぼ一致しています。
道場の床と的の高さとの高低差については、極端にこれが違わない範囲(十文字が形成できる)であれば、的と弓と眼との視覚的関係は相対的に変わらないので、矢摺り籐に写る的付けは全く変化しないはずです。このことは立射の場合とつくばい(割膝)の場合で高さの差が60cm程低くなっても高さの狙いが変化しないことで、証明されます。
3)射技の問題
以上の議論は全て標準的な射法、射技で行った場合のことであり、これが狂うと矢の高さは狂ってきます。
* 矢番えの位置が上下に狂っている場合
* 押手が極度に上押し、下押しの場合
* 懸けの親指の不正、捻り過ぎ、篦撓いがあるとき
* 胴造りの不正。かかる胴と退く胴(遠的では退き胴が飛ぶ)
* 物見がかかる場合と退く場合(顎が俯く、上がる)
これらはいずれも言わずと知れた五重十文字の狂いであり、矢飛びの高さが狂います、この他にも以下の悪癖が狂いとなります。
* 会の五つの緩み(両手の緩み、両肩の緩み、胸の緩み)
* 六凶の離れ(前離れ、送る、戻る、寄る、上がる、下がる)
* 三病(早気、もたれ、緩み)
以上高さの的付けについていろいろ書きましたが、実際には繰り返して練習すれば、自然に定まってくることですので、あまり意識する必要はないでしょう。
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