2-16 弓道における相反性

2006/05/28 日 00:00
櫻井 孝



■ 弓手の肩を働かせようとして大三で左肩を入れるとき、左ばかりを考えると、押手、左腕、両肩までが一直線になってしまうことがあります。この場合、両肩の線と矢筋は押手を頂点とする三角形になってしまいますので、平行ではなく、右に捻れ、三重十文字が狂うことになります。したがって右肩が逃げて右肩が収まらなくなります。

■これとは反対に馬手肘を関節にはめこもうとして、右ばかりを考えると今度は逆に右肩で背負うような形となり、片釣り合いであり、これも三重十文字の狂いとなります。この場合には左肩が凹みすぎて、小さい射となります。

■押手の肘の絞り(右回転)、馬手の懸けの捻り(左回転)を強くしようとしてやりすぎると矢が撓って、矢色がでて乱れることがあります。これも無闇に強く働かせるのではなく、半捻半弱の味わいで、程よく働かせるのがよいのです。

■矢こぼれをしないように懸けをしっかり深くかけると、かえって馬手の指が触って、矢こぼれ、篦撓い(のじない)が起きやすくなります。

■離れを軽く出そうとして力を抜くと、もたれになったり、緩みが出たりして、乱れてしまいます。


以上のように、ただ一方の働きだけを考えて進めてはいけないということです。弓道は天秤のようなもので、常に左右のバランスを考えて中央でなければならないのです。

ただし、その時点でどちらかに狂ったバランスの状態にあれば、その反対の働きがないと中央にはなりません。癖を矯正するときは自分がどの位置にいて、何処が中央か見つけなければいけませんが、それは自分が信頼できる先生に診てもらえば客観的に診断して頂けるでしょう。これを診療の冷熱ともうします。

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