2-1 弓の薀蓄
2001/09/03 月 00:00
櫻井 孝
但し、これらの式は弓の剛性が等断面であることと、微小変形理論に基いていることから、厳密には若干の誤差が生じるので、補正係数が必要となりますが、概算的には無視できると考えました。厳密には有限変位骨組構造解析プログラムに入力すれば、簡単に求めることができます。
ここで、Eは弓の材料の弾性定数でヤング率と呼ばれます。木や竹のヤング率は種類によって異なりますが、鉄の約20分の1程度。竹は少し小さめですが伸びの限界ひずみは大きくなります。グラスファイバーは弾性係数が高く、カーボンファイバーはさらに強く鋼に近い強さがあります。
鎮西八郎為朝が鉄の弓を引いたと云う伝説がありますが、弓の心材に鋼を用いたのかも知れませんが確かではありません。
aは矢尺の長さ、L^3は弓の長さの3乗、Iは弓の断面の剛性です。すなわち弓の強さは矢尺に比例し、弓の長さの3乗に反比例することが判ります。また剛性Iを数式で表すと、
I=B・t^3/12
となり、弓の強さは弓の幅に比例し、弓の厚さの3乗に比例します。
弓の幅は約3cm程度の一定であるので、弓の強さは弓の厚さによって敏感に変化します。初心者の弓は5分(15mm位)の厚さで10kgの強度であり、6分の厚さで約20kg、江戸時代の達人の弓は7分、30kg程度ありました。
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