12-23 弓に関する神話〜竹林流伝書「灌頂の巻」から
2022/10/21 金 18:00
櫻井 孝
須弥山(蓬莱山とも云う)とはヒマラヤ山脈のエベレスト山(海抜8,880m:中国名:チョモランマ)と思っていましたが、実はチベットのラッサから1500km程西の端にある聖地カイラス山(海抜6,660m:チベット名:カンリンポチェ)と知りました。現代ではエベレストのほうが高いことを知っていますが、古代ヒンズーの時代には、高いヒマラヤ山脈を越えて、その北に聳え立つカイラス山が最高峰の神聖な山、バラモンの象徴と考えたものでしょう。京都の寺院などでは築山に蓬莱山を据え、手前に心の形の池を配置していますが、カイラス山の南側に双子の湖があり、心の字の形にも見えます。仏教の曼陀羅の世界は実在の聖地であり、チベットの巡礼者達はこの地を五体投地しながらお参りしています。
▼弓矢に関わる動物〜烏、兎、おけら
弓に関わる動物には烏と兎が出てきます。「長きなるもの生まれたり、一方は烏の嘴、一方は兎の頭の如く」とあります。弓の上端は末(うら)はずと云い、細長い三角錐の形であり、烏のくちばしに似ています。下端は本(もと)はずと云い、短く丸みを帯びた三角錐は兎の額に似ています。烏と兎は陰陽を意味します。烏は天を飛び先導するので太陽の使い、兎は地を走るので陰の使いで月に住むのです。
▼弓矢の始まり
帝釈は世界の頂から見ましたが、弓は上が長く下が短い日本弓であることが判ります。和弓は上が長く下が短いので、上はずを長くしないと引き絞った時、弦輪から抜けてしまうのです。洋弓や中国弓、朝鮮弓は概ね上下対称であるので、上下のはずもほぼ同じ形となります。ちなみに、烏は那智神社に三足の八咫烏の伝説があり、日本武尊が東征したとき霧に覆われた東国の先駆けをしたことが勝利を導いたと云われます。しかし、朝鮮の高句麗の国旗も三足の烏であり、朝鮮伝来の伝説であることは確かです。矢の筈をおけらに似ているとして、箆けら虫、けら首とは面白いです。
2.佛と云う字
その後、帝釈は大通知勝佛(?)の御許(おんもと)に行きお尋ね有れば、佛は弓と云うはこのような物と、少し緩めた弓を取り出してよく御覧ずれば、人と云う字(裏反り?)に成りたりけり、それを張って見れば半月の形なり。この弓について説話は多数あるが、奥義たる故にわざと註釈せず。五受の受戒として弓の灌頂(最高位)はこれなり、内伝なり。(五位の免許の最高位が灌頂であり秘伝である)
その時、佛より帝釈に食べ物を進め給うとて、箸にて弓と箆の真似をし給うにより、一手の矢と学びたり、これによりいずれの場合にも真の弓には一手矢あるなり。
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