2-20 狙いと的中

2017/01/19 木 00:00
櫻井 孝



これは距離の影響を受けない場合の的付けであり、巻き藁における的付け、あるいは非常に強い弓を引く人の近的の的付けと同じになります。

2)物理的現象(アーチ作用)


矢は重力の影響を受けて、野球のボールと同じように放物線(アーチ)を描いて飛びます。当たり前ですが、弓が強く矢束が長い程、矢が軽い程、初速が早くなり、高さ(ライズ)の低いライナー性アーチの矢飛びとなります。

a)15キロ程度の弓の場合

15キロ程度の弓で近的を行うとき、矢がほぼ水平となるときに的中することは経験から明らかです。

身長170cmの射手の口割から的心までの高低差は凡そ120cmとなります。

image[図-6 近的で矢を水平に発射する場合]

図-6は水平に発射し、120cm自由落下するときのアーチ形状です。図-7は的の高さを口割と同じ高さ(高低差なし)に変換すると、中央のライズは1/4であるので、30cmのライズのアーチとなることを意味しています。このときの接線角は2倍であるので、14mで60cmとなり、1mあたり4.3cmの勾配に相当します。ここで眼から矢摺り籐までの距離60cmを掛けると、約2.5cmとなります。

image[図-7 的の高さと頬付けを水平にする場合]

したがって15キロの弓の的付けは7.5cmから2.5cm引いて、握り革の上5cm辺りとなります。

b)弱い弓の的付け

弓の強さとライズはほぼ反比例しますので、これより弱い弓の場合には少し上に向けないと的には届きません。11キロの弓ならアーチ分が3.4cmmとなり、狙いは約4cmとなるでしょう。

c)遠的の的付け

遠的の場合にはアーチライズは距離の2乗に比例しますので、先ほどの15キロの弓で近的用の矢を用いるときのアーチ分は約11cmとなり、7.5cmから引くと-3.5cmとなり握りに隠れてしまいます。

ここで、遠的用の矢の重さを近的矢の6割程度とするならば、アーチ分が6.5cmとなり、7.5cmから引いて、狙いは握りの上に1cm出て、狙い易くなります。

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