2-20 狙いと的中
2017/01/19 木 00:00
櫻井 孝
1.外れの誤差論
自分はどうして中らないのだろうと思う時、自分の射が理想的な射法に至らないためと考えて卑下していませんか。
それは確かですが、理想的な射でなくても、そこそこの中りは出るはずです。
誤差論で考えれば、的の半幅約18cmを28mの距離で割れば6mmとなり、目から弓までの距離を60cm程度とすれば、押手の位置で約3mmの誤差となるので、狙いをこの程度に合わせるのはそれほど難しくないと思います。
image[図-1 近的における狙いの誤差]
実際に的に中らないのは、離れで体や弓手、馬手がこれ以上にぶれて、弦が矢筋方向に戻らないことが原因です。
会の状態で空間に浮かんでいる矢を、矢筋方向に真っ直ぐに飛ばすことがポイントです。
しかし、弦の戻る道は柔らかく離そうとすると乱れやすいので、むしろただ左右に伸び合って、離れの軌道を決めるほうがかえって安定します。
要するに、外れるのは誤差論ではなく、離れで体がブレたり、バランスを崩すため、曲がって飛んでしまうのです。
2.和弓では自分で狙いが判らない
洋弓では半身で引き、自分の目で矢筋を直接確認して狙いを定めることで正確な照準ができます。
image[図-2 狙いは両目で的に焦点をあてる]
しかし、和弓では矢が頬にあり、目線とは偏芯しているため、自分の目で矢の方向は見えないので、狙いは自分では判りません。
image[図-3 A:的に焦点 B:弓に焦点]
狙いは両目で的を見たとき弓が二重にぼやけて写りますが、図-3のAのように、左側に見える弓が右目で見た像で、その左側の籐で的を半割とするのが標準的な狙いであると云われます。この時、狙いを確認しようとして弓に焦点を合わせますと、図-3のBのように的が二つ(3的付けでは6個)になって狙いが判らなくなります。だから弓を見てはいけません、的に焦点を合わせるのです。
ここで、なぜ右目なのか、なぜ籐の左側なのかと疑問に思うことはありませんか。それは図-2に示すように、左目の視線は矢の延長線と大きく離れているため透き通って見え、関係しません。矢に近い右目が主体になりますが、弓を注視してはいけません。的を注視して下さい。
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