手袋考8「竹林ガケと三河ガケ」

2016/10/06 木 22:04
峯 茂康


この中の「一節切り」という仕様がどういうものか分からないのですが、尺八の前身と言われる伝統楽器に「一節切(ひとよぎり)」という縦笛があるようです。Wikipediaによれば「尺八が竹の根本部分を用いるのに対し、一節切は幹の中間部を用いるため、尺八に比べて細径・薄肉である。」とのことなので、三河ガケの帽子は「細径・薄肉」だったということを指すのかもしれません。

また、三河は雪荷派が盛んな土地柄ですが、小沼師は「弓道講座 ユガケに就いて」の中で雪荷派三ッガケについて以下のように書いています。

堅帽子三ッガケで、大控になります。帽子は先を細くし節抜にします。総飾付で非常に優美なユガケです。現今では四ッガケも使用しております。

三河ガケは大控であるという説もあるようですが、それはこの雪荷派三ッガケと混同しているのかもしれません。

ちなみに通常の堅い控えを中控と呼び、柔らかい控えを小控と呼びます。大控は中控の控革がぐるりと手首を一周するまで(台革の端から端まで)貼り込んであるものです。おそらく機能よりも装飾のための仕様だろうと思います。控の種類については、通常の堅い控えを小控と呼び、柔らかい控えを半控と呼ぶユガケ師さんもいるようなので少々ややこしいです。

名匠駿河三慶が作ったという三河ガケがいろは弓具店に残されているそうですが、Blogの画像からは中控のように見えますし脂革もありません。しかし帽子は確かに先を削ぎ落とした形になっています。何をもって三河ガケとするのかは、控の仕様ではなく、帽子先の形状によるのでしょう。

[7] <<
comments (0)
-


<< 手袋考7「なぜ堅帽子を使うのか」
手袋考9「節抜き諸ガケ 三河風」 >>
[0] [top]


[Serene Bach 2.24R]