7-25 弓射における三つの平面
2007/03/08 木 08:00
櫻井 孝
すなわち、体が比較的薄く肩関節が前についている、あるいは物見の深い射手は、二つの平面が接近しているので、大三を引きつけて縦引きで引き分ければ、右肘は無理なく収まり、的中にも優れる射手になると思われます。
逆に体が厚く両肩関節が後ろについていて、首が短く、物見の浅い射手はこの二つの平面の偏芯が大きいので、引き分けの弦道において顔や胸が邪魔をして、右肘は納まり難くなります。この場合には大三を少し遠めにして、やや横引きで直線的に引きつけるのが良いと思われます。しかしこのような場合でも、なるべく物見を深くして、二つの平面を近づけるように努力したいものです。
したがって、第一の平面(三重十文字)をゆがみなく真っ直ぐに立てることが第一条件です。そのために足踏み、胴造り、物見をきちっと行い、姿勢を崩さないことが肝心です。
次に、第二の平面(弓矢の十文字)を絶えず体に平行(鉛直)に保ったまま引き分けるのが第二の条件です。そのためには弓構え、打ち起しにおいて弓矢を鉛直・水平になるように気を配り、引き分け以降もそれを保つことが肝心です。往々にして、押手を強くしようとか、捻りを強くしようとする意識が弓矢の平面を崩すのです。
そして、第三の平面である両腕の収まりは、両肩関節をその人の骨格に合わせて、ちょうど良い矢束まで真っ直ぐに引き収めることが肝心です。自分とは体格の異なる人の美しい射形を模倣しようとすると無理があるので、上記の二つの平面の重なりをイメージしてちょうど良い大三の位置を見つけることが大事です。このときの大三の位置と会の位置も第三の平面の同一面上にあるのはもちろんです。
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