1-22 「中学集」という書物

2007/01/22 月 20:08
櫻井 孝



昔の弟子たちは中学集の一か条ごとに暗唱させられていたかもしれません。

以下に「中学集」の冒頭の第一条の一部を紹介します。ここで、先頭からの文章が如成の原文であり、一字下がり(■)の文が貞次の註釈、二字下がり(■■)の文が瓦林の註釈となっています。


目録
第一 総十文字のこと(尾州竹林星野派の伝書では:七道の曲尺の事)
 一 足踏み  二 胴造り  三 弓矢  四 弓構え  五 手裏(てのうち) 六 打起し  七 付けの曲尺

本文
第一 
総十文字のこと(七道の曲尺のこと)は、五重十文字より始めて万事の曲尺なり。
■五重十文字とは、弓と矢と、懸けの親指と弦と、弓と手の内と、胴の骨と肩の骨と、首の骨と矢との五つの十文字であり、いずれも直角(曲尺)の十文字である。
■■本文のとおり

諸業に肝要なりといえども
■諸業とは繰矢(遠矢)、指矢(堂射)、抜矢(射貫き)、中りのことである。
■■繰矢(的なしで遠くに飛ばす)は四町七、八反は飛ぶものである、弓は七分半位で、矢は四匁位が良し、嚢中の釣合い良し、根筈の方を細くして、羽の長さを三寸5分位から一寸四分程度まで切り詰めてもよし。(中略:指矢、抜矢の記述あり)

ことに中りは曲尺に違うては叶わざるによって
■中り(的中)はことさらに曲尺を用いるということは、各条に記すように、総体(心身弓)の均衡をはかって全ての曲尺にしたがうとき的に中るのである。
■■本文のとおり

足踏みの曲尺より専ら用いるものとす。
■目当て物(的)と左親指の頭と右親指の爪根との三つの曲尺なり
■■足踏みは的と左足親指の後角と右足親指の前角の爪との三点を結ぶように、大工が墨糸を引いて陸(真っ直ぐ)にするように踏むのを墨指の曲尺という。

されば目あてに(的から)糸(墨糸)を引いて
■大前に立つのと、中に立つのと、落ちに立つのでは、直に対して歪みが生じて目当てに相違があるので、的から自分の立つ所に墨糸を引くような気持ちで、足踏みの曲尺を定めること。

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