骨折後2ヶ月〜3ヶ月
2006/12/31 日 11:20
峯 茂康
そこで弓の稽古もワンステップ進めて、騎射体操に加えて少しずつ素引きをすることにします。
そこで気になったのは弓構えをすると左右の肩の高さがまるで違うことです。自分では肩を釣り上げている感覚は全くないのに、鏡を見ると何故か左肩が高いんですね。
これを医師に尋ねたところ、肩関節(上腕骨と肩甲骨を繋ぐ関節)が動きにくいと、自然に肩甲骨の動きで補おうとするため肩が上がるのだそうです。
腕の上げ下げは肩関節と肩甲骨の回転で実現しています。もともと肩甲骨は上腕骨が動くとそれに伴って動くのですが、ローテーターカフ(腱板筋群)が弱っていると腕を横から上げること(上肢の外転)ができず、それを補うために肩甲骨が上方旋回するので肩が高くなるのです。
肩関節30度以上の動きでは、上肢の外転2度毎に肩甲骨が1度ずつ上方回旋するのだそうです。例えば、腕を真横(90度)に上げる=肩関節外転60度+肩甲骨旋回30度となります。この2:1の共同運動を「肩甲上腕リズム」と呼びます。
三角筋や僧帽筋といった外側にある筋肉はアウターマッスルと呼ばれ、それに対してローテーターカフ(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)は内側にあるのでインナーマッスルと呼ばれます。インナーマッスルは筋肉の種類で言うと「遅筋」で、大きな力は出せませんが持久力に優れています。そのためローテーターカフは肩関節の安定性を保つ役割を担っています。
これらのバランスが崩れて肩甲上腕リズムが狂うとインピンジメント症候群という障害が発生します。この障害がひどくなると腱板断裂になったり大結節剥離骨折になったりするのです。
インピンジメント(impingement)とは衝突という意味です。インナーマッスル(ローテーターカフ)の働きが不十分だと、上腕骨を外転させきらないうちに肩のアウターマッスル(主に三角筋)が腕を引き上げてしまって、大結節の部分が肩峰(肩甲骨の上端、鎖骨との接続部)に衝突して周囲の筋肉等を挟み込んで損傷するのです。
ローテーターカフのうち棘上筋は肩関節を中心として上腕骨を水平まで引き上げる働きをしますが、このとき肩関節が上へ外れないように上腕骨と肩甲骨を結ぶ棘下筋と小円筋が働いていないと安定しません。つまり支点を安定させるわけです。この安定性が失われたときに最も損傷を受けやすいのが棘上筋です。軽度のインピンジメント症候群では、この棘上筋の部分で炎症を起こすことが殆どだそうです。
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