6-17 竹林七道の順序について

2004/11/27 土 00:00
櫻井 孝



竹林七道の順序については伝書「四巻の書」によれば、

1. 足踏み
2. 弓構え
3. 胴造り
4. 引っ取り(ひっとり)
5. 打ち起し
6. 会
7. 離れ(残身を含む)

の順序になっていますが、現代の射法八節は

1. 足踏み
2. 胴造り
3. 弓構え
4. 打ち起し
5. 引き分け
6. 会
7. 離れ
8. 残身

であり、引っ取り(ひっとり)、打ち起しの順序が異なっています。しかし、竹林流でも実際の射法の順序は基本的には現代の射法八節と変わらないので、矛盾しています。

以前に書いたものは、紀州竹林流(と思われる)の伝書(本書)に、ある人が吉見順正(紀州竹林の祖)に「射法の順序は打ち起してから引き分けるのに、順序が逆になっているのは、誰かが伝書の頁を間違って写し伝えたのではなかろうか」と問うたところ「書き間違いではなくて、先に引き分けの気持ちを持って打ち起しを行うのが肝心である」と解説しているのを読んで、説得力のある面白さと「無理が通れば道理が引っ込む」強弁さと、さらに日本語の反語的解釈の難しさを書きました。

星野勘左衛門の伝書では以下のようになります。

1. 竹林の「弓構え」は現代の「弓構え」とは全く別のものであり、「的割り」とも云われる。これは「矢番え」をした後、弓手を膝頭の上のまま的に向かって回転させ、弓と弦と矢で的を割り、馬手は右乳の上を横に開いて、会の形を作り、両肩の線を合わせて目当てを定めることを云う。

2. 次に胴造りであるが、これは現代と同じく足踏みの上に三重十文字を重ねる。

3. 「引き取り」を紀州竹林では「引き分け」と解釈したため順序が違うという議論となったが、星野勘左衛門の註釈では、「引っ取り」とは「弓懐」のことであり、目当てもの(的)を懐に引き取ると表現している。正面打ち起しでは円相の構えに相当するが、竹林では「剛の弓懐」といい羽引きのまま左斜面に弓懐をとる。

以上の解釈であれば、射法の順序は狂っていないことになり素直に理解できます。紀州竹林流の伝書は言葉の解釈が異なったのです。「弓構え」、「的割り」、「弓懐」、「引き取り」と「引き分け」は言葉が紛らわしいですが、別のものであると理解しなければいけません。

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