4-23 角見を効かすとは

2004/09/14 火 00:00
櫻井 孝



昔の強弓を見ましたら弓の幅が40mmくらいあり、これではちょっと角見を効かしたくらいでは、相当前(右)に飛んでしまうと思いました。

伝書には、押手の中心はあくまで虎口(親指と人差し指との股)の中心にあるとあります。そして、その効かせかたは丁度、「船がとも綱に結わえられて自由に流されている」ように喩えています。すなわち、押手の角見は大三や引き分けの段階で強く捻るものではなくて、流れに任せて真っ直ぐに押すイメージであり、親指と人差し指の2点から受けた力を手首の脈どころ(関節)で受けて、離れの瞬間にはそのとも綱が解かれたように目指す方向に親指が伸びきるのが、角見の働きであるというような趣旨のことが書いてあります。

このように考えれば、強弓であっても懸命にねじりを加えて、角見を効かせようとするのではなくて、むしろ引き分け、会では柔らかく、中央で押す押手であり、離れの瞬間に握って両手の親指を矢筋方向に真っ直ぐに伸ばしきることで自然に角見が効いてくるイメージです。このように考えると、無理に角見を強く働かせなくても、コツを掴めば軽く効率的に働かせることができるのです。

これが、「剛弱所の働かせ方」であります。これについては以前に書きましたので、そちらを参照してください。これらのことが判って来ると、押手を打ったり、顔を打ったり、髪の毛を払ったり、眼鏡を飛ばすことは卒業できるでしょう。

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