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- OZ
- 2012/10/26 22:10
- 峯先輩ご無沙汰しております。
さて、先日京都の御弓師柴田勘十郎氏より直接聞いた話が感慨深かったので、失礼ながらこの場を拝借させていただきます。
1年生がゴム管を終えてから初めて手にする3k、3.5kの弱弓のことです。おそらくは東海の道場以外でかかる弱弓を見ることは無いのではないでしょうか。
あの弓の制作者はかの柴田勘十郎氏であり、その依頼者は大野先生であることはご存知でしたでしょうか。
小学校を出たばかりの少年の体躯に、弓の反動はよろしくないという大野先生のお考えなのだそうです。
直心などの弓が並ぶ中、実は、3kの弱弓はその価格にして直心等の2張り分弱になるそうです。つまり3kの弓が一番高価な弓であり、銘こそ無いものの、柴田勘十郎作だったわけです。
わざわざ京都まで出掛けられ、じっくりと最高の弓師と語り合われ、制作を依頼し、グレーの山高帽をかぶってニヤリと笑って店を後にする先生のお姿が眼に浮かぶような気がいたしました。
先輩方・後輩諸君の優れた戦績は、忘れがちではありますが3kの弓から産まれたものであり、何よりも東海生・OB諸兄の全員が生まれて初めて手にする弓は、当世きっての教育者の苦心の作であり、最高の弓師の作であったというわけです。斯様にして、身体に無理なく弓の基本を学ぶことができたのです。
卒業後30年近くたって師の恩が身にしみた次第です。まさに射道は盛徳の道、目指すべきは正射正中ですね。
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